イヤモニの仕組みは？｜役割・使い方を解説！ライブ向けのおすすめイヤモニ4選も

「イヤモニ」と呼ばれるフレーズを聞いた経験はありますか。名前は聞いた経験があっても、どんな使い方をしているのかはよくわからない方が多いです。しかし、音楽に携わる方とっては必要不可欠なものです。

イヤモニとは、重点的に聴きたい音だけをピックアップして聞けるツールといえます。周りの余計な音を遮断しつつ欲しい音だけを聞きとれるため、ライブハウスなど大音量の中でパフォーマンスを行うミュージシャンにとっては欠かせない存在です。

本記事では、イヤモニの仕組みやどのようなシチュエーションでどのような役割を果たすのかを解説します。その他にも、ライブ用イヤモニ・イヤモニで何が聞こえる・イヤモニを外す意味なども紹介するので参考にしてください。

イヤモニは正式にはインイヤーモニターといい、パフォーマーの耳に必要な音のみを届けるためのツール全体を指します。略語として「イヤモニ」と呼ばれるようになりましたが、今ではこの「イヤモニ」の方が世間に定着しました。

見た目は一見すると普通のイヤホンと変わりませんが、プレイヤーの耳の形に合わせてカスタム(オーダーメイド)されており、遮音性を上げてより必要な音のみを聞き取りやすくしてあります。このため、自分用にカスタムされたオーダーメイドイヤホン(カスタムIEM)を「イヤモニ」と呼ぶ流れもあります。

そもそもイヤモニが生まれた理由は、ミュージシャンの聴覚の保護が目的です。大音量での演奏かつ、大音量でモニターから音を返す事による聴覚障害から守るのがイヤモニの第一の役割です。

カスタムIEMも、《イヤモニで小さな音量で音を返す→そのために遮音性が必要→耳に合わせてオーダーメイドする》といった流れで広がりました。そのため、大前提は何といっても聴覚の保護です。

オーソドックスな使い方の1つとして、自分の声や音を確認する場合が挙げられます。特にミュージシャンであれば、自分の演奏している音や歌声が聞こえないと、正しい音を出せているのか確認できません。

特にバンド編成の場合は周りの演奏音も大きく、音が聞き取りにくいです。また、広い会場であればあるほど会場に音が反響して正しい拍数が取れなくなる場合も懸念されます。そのために、余計な音を遮断して自分の声や必要な音を確認します。任意で切り替えられるので、特にヴォーカリストには必須のツールです。

ライブ中ボーカリストが頭を悩ます問題の一つが「ハウリング」です。1箇所で歌うだけならまだしも、動きながら歌った場合、何らかの角度でモニターのスポットに入ってしまい、ハウリングさせてしまう場合はよくあります。

しかしイヤモニを使用すれば、モニターから大音量で返す必要はなくなるため、ハウリングしにくくなります。

通常ライブでは、モニタースピーカーから「返す」自分達の音をチェックします。しかし、ライブが大音量であるほどこの「返し」の音も大きくしなければならず、やりすぎると音が濁ってしまいます。

そんな時にイヤモニを使用していれば、大音量でモニターする必要はありません。リズムや音程といったミュージシャンにとっての大前提を、最低限の音で取れます。

スタッフの指示を確実に聞き取るためにもイヤモニは活用されます。テレビ番組ではスタッフが演者に指示を出したくても、大きな声で叫ぶとマイクが音を拾ってしまうので声を張って指示を出せません。

しかし、イヤモニがあればマイクに音を拾われず、演者にのみ聞こえるように指示を出せるので、番組の進行を止めなくて済みます。また、演者に限らず舞台裏でも、短時間で指示を出したいスタッフに指示を出せるので応用の幅が広いです。

ライブ中にミュージシャンがイヤモニを外す場面もあります。イヤモニはもちろんメリットはありますが、遮音性が高いため、つけたままだと周りの声が聞こえにくくなってしまいます。

ミュージシャンがイヤモニを外す意味は、ファンの直接の声を聞いたり、グループ・バンドのメンバー同士で交流するためです。イヤモニを外してまでファンの声が聞きたいミュージシャンの想いがよく伝わってきます。

前述ではイヤモニの役割や使い方について説明しました。ここからは、具体的にどのような仕組みで欲しい音だけを拾えるのか、有線方式と無線方式の違いについて解説します。

有線方式は昔から存在する最もポピュラーな方式で、名前の通りイヤモニとミキサー・オーディオインターフェースをケーブルで繋いで接続します。ミキサーのphone端子にイヤモニを挿し込んでミキサー側で音量の調整を行うのが可能です。

バンドの演奏を大規模な会場で行う時は、ミキサーで集音し、出力調整を行って各スピーカーに割り振って音を出します。ドラムといった場所を動かないパートは、有線を使用する場合がほとんどです。

無線方式はコードなしでミキサーとマイク、中継器を電波で繋ぐ方式です。場内を動き回るパートでは、こちらの方が人気で一般的となりつつあります。送信機を電源に挿し、受信機には乾電池を入れて電源をオンにすればすぐに使用可能です。

仕組みとしては、ドラムやギターなどの音をミキサーを介して(AUX端子で)電波の発信機に接続して、無線で飛ばします。無線といっても、免許不要のB帯域や2.4GHz帯のため誰でも扱えて安心です。もちろん無線のため安定感は有線に劣ります。

デメリットとしては、ワイヤレスのイヤモニはまだまだ高額で3万円以上が相場です。アマチュアのバンドマンにとってはそれなりに大きな出費となります。

イヤモニの便利さはここまでご解説した通りですが、まだ駆け出しのアマチュアバンドとなると出費も大きくなるため、現実的な話とは言えない場合もあります。

バンドメンバー全員分のイヤモニを購入しようと思うと、有線1万円以上・無線で3万円以上の価格が人数分が必要になり、負担が大きくなってしまいます。また、音の大小をパートごとかつ担当ごとに調節しようと思うと、ミキサーのチャンネルも非常の多く必要です。

さらに、ライブハウスといった小さな箱(ハコ)で、うまく扱えるPA(音響)さんがいるかどうかの問題もつきまといます。そのため、ボーカルとドラム(有線でOK)のみが使用といったところが現実的です。

イヤモニを販売しているメーカーはたくさんありますが、中でも人気なのはShure、ゼンハイザー、オンキヨー、KZなどのメーカーです。これらのメーカーは、日本をはじめ、世界中の幅広いユーザーにその実力を評価されている大手メーカーです。

高い遮音性、クリアに聞きとれる音質とメーカーによって強みはバラバラですが、あらゆる面においてプロも納得するこだわりの強い製品を送り出しています。

イヤモニは個人での購入も可能です。楽天などのネット通販で購入でき、安いものであれば1万円ほどの価格で入手できます。イヤモニは種類も豊富なため、自分好みのデザインが販売されていないかチェックしてみてください。

また、本格的なタイプが欲しい場合は基本的に耳型(IEM)を取る必要があります。そのため、購入する際はオーダーメイドになるのを覚えておきましょう。コスト重視でいくのか、質のいいものを選ぶのかよく考慮するのが大事です。

本来の意味の「イヤモニ」はプロのミュージシャンの聴覚保護のためのシステムです。そのため、使用するイヤホンは基本的に耳に合わせたオーダーメイドです。「カスタムIEM」と呼ばれ、それぞれの耳の形に合わせての受注生産のため、遮音性を高めて作成できます。

カスタムIEMを出しているメーカーも数多いため、気になる方はぜひ作成してください。以下の記事でも紹介しています。

イヤホンは音楽を聴くために作られていて、聞き手に最適な音を作り出すのが特徴です。それに対しイヤモニは、電子楽器や音源そのままの音が聴けます。出力された直接の音が聞けるのが、イヤホンとの違いです。

また、イヤモニはイヤホンよりも遮音性が高いといった違いもあります。イヤモニは、ステージにいるアーティストなどが音を聴き分けられるように、周りの音をシャットダウンできます。

一見難しそうなイヤモニの仕組みは、覚えれば自分に合った用途の物を選ぶのも簡単になります。既製品でも優秀なイヤモニは数多いですが、強みはイヤモニやメーカーによって異なります。自分の求めるイヤモニを購入するためにも、仕組みやメーカーについて熟知しましょう。